
我々の病院、愛媛県立中央病院は、平成27年8月に厚生労働省造血幹細胞移植医療体制整備事業の四国ブロック拠点病院に認定されました。 この事業は、国の法律に基づく事業であり、全国の移植医療体制の均てん化を目的としております。四国ブロックは全国のブロック中でも人口が少なく、移植数も少ない地域で、これからは人口減少も予想されます。しかしながら、地域の血液疾患患者さんは地域で完結する治療を望んでおり、我々は、地方でも都会と変わらない移植医療を提供する必要性があると考えています。 四国ブロックでは、医師、看護師、その他の移植に関わる多職種の人材不足、経験不足が課題でしたが、平成27年に事業をスタートして以来、HCTC(造血細胞移植コーディネーター)の育成、移植に関わる多職種の人材育成、チーム医療の促進、LTFU(長期フォローアップ)外来設置、コーディネート期間短縮、非移植施設との地域連携を促進し、認定されてから四国の移植医療は飛躍的に進歩しました。事業開始時には認定HCTCは四国に2人しかいませんでしたが、今年度5人誕生し、計8人となりました。四国の非血縁者間移植施設のすべてに認定HCTCが配置される日も近いと思われます。 四国ブロックでは事業のスタート時から「移植患者のQOL(生活の質)を日本一にする」を目標に掲げており、移植の前から移植時、そして退院したあとの長期に渡るQOLの向上を目指して、この6年間で着実に前進できたものと思います。 令和2年度、事業内容の見直しがおこなわれ新しい基準で再公募がおこなわれ、四国ブロックは地域的に関係性の深い中国ブロックと共同して事業をおこなうことになり、引き続き愛媛県立中央病院が造血幹細胞移植推進拠点病院に決定いたしました。また、四国ブロックの地域連携事業の強化のために、四国内の8施設が『造血幹細胞移植推進地域拠点病院』に指定されました。 これからは、各県の地域拠点病院と共に移植を受ける患者さんのために、更に質の高い移植医療を目指していきたいと思っております。そして、我々の試みが、全国の移植施設のモデルとなり、移植を必要とする地域の患者さんのためになればと考えています。
令和3年3月愛媛県立中央病院 血液内科名和由一郎