更新日:2025年1月28日
肺がん
治療方針
治療方針の決定については、内科、外科、放射線科の3科で合同カンファレンスを行い、治療方針を決定しています。特に、高齢者、合併症のある方、進行度の高い方などの場合、各科の意見を集約したうえで、患者さんに説明させていただきます。
診断
肺がんが疑われた状況では、病変部分からの組織生検を行い、肺がんの確定診断を行います。主に気管支鏡を用いますが、適度な鎮静薬を用いることによって、できるだけ苦痛を軽減し楽に検査を受けていただく努力をしています。
採取した組織は、肺がんの種類(小細胞肺がん、非小細胞肺がん:扁平上皮がんまたは非扁平上皮がんなど)を判定し、必要に応じて遺伝子異常、免疫染色などの追加検査により、今後の治療薬選択の判断を行います。
肺がんの確定に至った場合は、PET-CTなどを用いて肺がんの広がりを確認し、病期(ステージ)の判定を行います。
治療
呼吸器内科における肺がん治療
手術切除が出来ない全ての肺がん治療を呼吸器内科で行っています。大きく非小細胞肺がんと小細胞肺がんに分かれますが、それぞれ日本肺癌学会肺癌診療ガイドラインに基づいた標準的治療を実施しています。
1.非小細胞肺がん
医学的な理由で手術が出来ない局所非小細胞肺がん(Ⅰ-Ⅱ期)に対しては、放射線治療医による根治的放射線治療を行います。症例によっては線量の集中性を高める高精度放射線照射技術である定位放射線治療も可能です。
切除不能局所進行期非小細胞がん(Ⅲ期)では、患者さんの状態が良ければ化学放射線療法(抗がん剤+放射線治療)を行います。更に引き続いて免疫チェックポイント阻害剤を1年間使用することで再発の可能性を低くすることができます。上記の併用療法が困難な方においては放射線単独での治療を検討します。
転移・再発期の非小細胞肺がん(Ⅳ期)では、さまざまな抗がん剤を個々に合わせて使用します。肺がんになる原因の遺伝子異常が見つかった方(EGFR、ALK、ROS1、BRAFなど)はそれぞれの遺伝子異常に直接作用するチロシンキナーゼ阻害剤を用いて長期の安定を目指します。それらの遺伝子異常を伴わない方は、細胞傷害性抗がん剤や免疫チェックポイント阻害剤、血管新生阻害剤を組み合わせたり単独で使用したりして、それぞれの患者さんに適した治療を提案させていただきます。
体力的に弱っている方においては、無理な抗がん剤治療を行うことによって更に具合を悪化させることがあるため、最初から症状緩和対応が望ましい場合もあります。
2.小細胞肺がん
限局型小細胞肺がんに対して放射線化学療法を、進展型小細胞肺がんに対して化学療法を行います。
呼吸器外科における手術治療
Ⅰ~Ⅲ期の原発性肺がんに対する標準手術は長らく肺葉切除とされていましたが、比較的早い段階で見つかった肺癌に対しては肺区域切除や肺部分切除など切除範囲を縮小した手術が推奨されています。当科でもがんの進行度や患者さんの体力等を勘案し、可能な限り縮小手術を行うように努めています。近年では胸腔鏡やロボット支援技術を用いることによって手術の傷も小さくて済むようになりました。また、必要に応じて化学療法、放射線療法を組み合わせた集学的治療を行います。
院内がん登録データ
肺(2022年1月~12月)
登録数と男女割合
年齢
詳細部位別登録数
UICC TNM 非小細胞癌の治療前ステージ別登録<症例区分20~31(自施設責任症例)、病期分類対象のみ>
UICC TNM 非小細胞癌の術後病理学的ステージ別登録<症例区分20~31(自施設責任症例)、病期分類対象のみ>
UICC TNM 非小細胞癌の総合ステージ別登録<症例区分20~31(自施設責任症例)、病期分類対象のみ>
UICC TNM 非小細胞癌の総合ステージ別 治療の件数<症例区分20~31(自施設責任症例)、病期分類対象のみ、自施設で実施した初回治療のみ>
※件数は延べ件数。外科的治療と化学療法を組み合わせて行った場合には、どちらの項目でもカウントされる。




