更新日:2022年6月10日
血液腫瘍
治療方針
日本血液学会が公表している造血器腫瘍診療ガイドラインに沿った治療を行っています。
また、日本白血病研究グループ(JALSG)、JSCT研究会等の臨床研究に参加をしています。
治療
びまん性大細胞型リンパ腫:DLBCL
stageⅠ~Ⅱの限局期においては、R-CHOP(リツキシマブ、シクロホスファミド、アドリアマイシン、ビンクリスチン、プレドニゾロン)3コース+放射線照射を行います。stageⅢ~Ⅳの進行期はR-CHOPを6-8コース行います。
高齢者の患者さんには、臓器障害、ADL(日常動作)、PS(全身状態)等で投与量を減量しておこないます。初回は入院することが多いですが、その後は基本的に外来通院で治療しています。再発例には、65歳以下では救援化学療法後に、大量化学療法+自家末梢血幹細胞移植を行います。
血管内リンパ腫や原発性中枢神経リンパ腫では大量MTXを用いた化学療法を行います。限局期胃原発DLBCLでは、R-CHOP3コース+放射線治療を行います。CD5陽性DLBCLやダブルヒットDLBCLの場合はEPOCH療法を行うこともあります。
濾胞性リンパ腫
進行が緩徐であり、stageⅠ~Ⅱの限局期では、経過観察を行うか、放射線治療、リツキサン(R)単独治療を行う場合があります。stageⅢ~Ⅳの進行期で高腫瘍量の場合は、主にオビヌツズマブ-ベンダムスチン(GB)を施行しています。維持療法を行うかどうかは患者さんと相談して決めます。進行期でも低腫瘍量の場合では経過観察をするか、R単剤で行うこともあります。
成人T細胞性リンパ腫
急性型、リンパ腫型に対しては、mLSG15(VCAP-AMP-VECP)を使用しています。モガリズマブを併用して行うこともあります。若年者であれば同種造血幹細胞移植を行います。
急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病
基本的にJALSGのプロトコール登録またはそれに従った治療を行います。予後不良因子を持っている患者さんは、第一寛解期から同種造血幹細胞移植を検討します。高齢者の急性骨髄性白血病の場合は、骨髄異形成症候群からの進展の場合が多く、CAG療法(アクラルビシン、シタラビン、G-CSF)やアザシチジンを使用する場合もあります。フィラデルフィア陽性の急性リンパ性白血病はTKIと併用した化学療法を行います。
多発性骨髄腫
70歳までは大量化学療法併用自家末梢血幹細胞移植の適応であり、ボルテゾミブ、レナリドミド、デキサメサゾンで寛解導入療法を行い、G-CSF単剤もしくはプレリキサホル併用で末梢血幹細胞採取を行い、大量メルファラン+自家末梢血幹細胞移植を施行し、維持療法を行います。
70歳以上ではダラツムマブを加えた薬剤で治療を行います。再増悪の場合は、使用していない新規薬剤を組み合わせて治療していきます。
骨髄異形成症候群
低リスクでは、タンパク同化ステロイド、免疫抑制剤などを使用し、高リスクでは、アザシチジン、CAG療法を行います。移植適応年齢においては、同種造血幹細胞移植を検討します。
慢性骨髄性白血病
第2世代チロシンキナーゼ阻害剤を使用します。基本的には、生涯内服が必要となります。
院内がん登録データ
血液腫瘍(2020年1月~12月)
※小児血液腫瘍の件数を含んでいます。
登録数と男女割合
年齢
分類別登録数
詳細組織形態別登録数(WHO2017)
WHO2017に基づく分類 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | |
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骨髄系腫瘍 | 骨髄増殖性疾患、肥満細胞症 | 23 | 24 | 18 |
骨髄異形成・骨髄増殖性腫瘍・骨髄異形成症候群 | 33 | 51 | 47 | |
急性骨髄性白血病および関連前駆細胞腫瘍 | 36 | 32 | 21 | |
分化系統不明瞭な急性白血病 | 0 | (1~3) | 0 | |
その他骨髄系腫瘍 | 0 | 0 | 0 | |
リンパ系腫瘍 | 前駆型リンパ球系腫瘍 | (7~9) | 10 | (7~9) |
成熟B細胞腫瘍 | 81 | 104 | 89 | |
形質細胞腫瘍 | 32 | 24 | 12 | |
成熟T細胞およびNK細胞腫瘍 | 15 | 18 | 22 | |
ホジキンリンパ腫 | (4~6) | (4~6) | (4~6) | |
その他リンパ系腫瘍 | (4~6) | (1~3) | (4~6) | |
組織球および樹状細胞腫瘍 | 0 | 0 | (1~3) | |
その他(上記で分類できないもの) | 0 | 0 | 0 |
UICC TNM 治療前ステージ別登録<症例区分20~31(自施設責任症例)、悪性リンパ腫のみ>
治療の件数<症例区分20~31(自施設責任症例)、自施設で実施した初回治療のみ>
※件数は延べ件数。外科的治療と化学療法を組み合わせて行った場合には、どちらの項目でもカウントされる。



