更新日:2024年7月26日
血液腫瘍
治療方針
日本血液学会が公表している造血器腫瘍診療ガイドライン2023年度版に沿った治療を行っています。
また、成人白血病治療共同研究機構(JALSG)、JSCT研究会等の臨床研究に参加するとともに、治験にも積極的に参加をしています。
治療
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫:DLBCL
18歳~80歳で国際予後指標(IPI)2以上の患者さんに対しては、ポラツズマブ ベドチン併用R-CHP(リツキシマブ、シクロホスファミド、アドリアマイシン、プレドニゾロン)療法6コースを行います。または、限局期において、R-CHOP(リツキシマブ、シクロホスファミド、アドリアマイシン、ビンクリスチン、プレドニゾロン)3コース+放射線照射、進行期はR-CHOPを6-8コース行う場合もあります。
高齢者の患者さんには、臓器障害、ADL(日常動作)、PS(全身状態)等で投与量を減量しておこないます。初回の化学療法は原則として入院で行い、その後は状況に応じて外来で治療(外来化学療法)を行います。再発例には、65歳以下では救援化学療法後に、大量化学療法+自家末梢血幹細胞移植を行います。
血管内リンパ腫や原発性中枢神経リンパ腫では大量メソトレキセートを用いた化学療法を行います。限局期胃原発DLBCLでは、R-CHOP3コース+放射線治療を行います。CD5陽性DLBCLやダブルヒットDLBCLの場合はEPOCH療法を行うこともあります。
濾胞性リンパ腫
進行が緩徐であり、stageⅠ~Ⅱの限局期では、経過観察を行うか、放射線治療、リツキシマブ(R)単独治療を行う場合があります。stageⅢ~Ⅳの進行期で高腫瘍量の場合は、主にオビヌツズマブ-ベンダムスチン(GB)療法を施行しています。維持療法を行うかどうかは患者さんと相談して決めます。進行期でも低腫瘍量の場合では経過観察をするか、R単剤で治療を行うこともあります。
成人T細胞性白血病リンパ腫
急性型、リンパ腫型に対しては、主にmLSG15(VCAP-AMP-VECP)を使用して治療を行いますが、モガムリズマブを併用して行うこともあります。若年者であれば同種造血幹細胞移植を積極的に行います。
急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病
基本的にJALSGやJSCT研究会のプロトコールに登録、またはそれに準じた治療を行います。予後不良因子を持っている患者さんは、第一寛解期から同種造血幹細胞移植を検討します。高齢者の急性骨髄性白血病の場合は、ベネトクラクスとアザシチジンで治療します。フィラデルフィア染色体陽性の急性リンパ性白血病はチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を併用した化学療法を行います。
多発性骨髄腫
70歳までは大量化学療法併用自家末梢血幹細胞移植の適応であり、ボルテゾミブ、レナリドミド、デキサメサゾンで寛解導入療法を行い、G-CSF単剤もしくはプレリキサホル併用で末梢血幹細胞採取を行い、大量メルファラン+自家末梢血幹細胞移植を施行し、維持療法を行います。
70歳以上ではダラツムマブを中心とした治療を行います。再増悪の場合は、使用していない新規薬剤を組み合わせて治療していきます。
骨髄異形成症候群
低リスクでは、エリスロポエチン製剤、タンパク同化ステロイド、免疫抑制剤などを使用し、高リスクでは、アザシチジンを用いて治療します。移植適応年齢においては、同種造血幹細胞移植を検討します。
慢性骨髄性白血病
第2世代チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を使用します。基本的には、生涯内服が必要となりますが、妊娠を望む若い女性、副作用でTKI継続が困難などの理由がある場合、または深い奏功が得られた患者さんは一定の条件を満たすと、定期的なモニタリングを条件にTKI中止を検討することが出来ます。
院内がん登録データ
血液腫瘍(2022年1月~12月)
※小児血液腫瘍の件数を含んでいます。
登録数と男女割合
年齢
分類別登録数
詳細組織形態別登録数(WHO2017)
WHO2017に基づく分類 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | |
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骨髄系腫瘍 | 骨髄増殖性疾患、肥満細胞症 | 18 | 19 | 23 |
骨髄異形成・骨髄増殖性腫瘍・骨髄異形成症候群 | 47 | 20 | 47 | |
急性骨髄性白血病および関連前駆細胞腫瘍 | 21 | 25 | 26 | |
分化系統不明瞭な急性白血病 | 0 | 0 | 0 | |
その他骨髄系腫瘍 | 0 | 0 | (1~3) | |
リンパ系腫瘍 | 前駆型リンパ球系腫瘍 | (7~9) | (7~9) | (7~9) |
成熟B細胞腫瘍 | 89 | 82 | 95 | |
形質細胞腫瘍 | 12 | 16 | 25 | |
成熟T細胞およびNK細胞腫瘍 | 22 | 18 | 19 | |
ホジキンリンパ腫 | (4~6) | (1~3) | (7~9) | |
その他リンパ系腫瘍 |
(4~6) |
(1~3) | 11 | |
組織球および樹状細胞腫瘍 | (1~3) | (1~3) | (1~3) | |
その他(上記で分類できないもの) | 0 | (1~3) | 0 |
UICC TNM 治療前ステージ別登録<症例区分20~31(自施設責任症例)、悪性リンパ腫のみ>
治療の件数<症例区分20~31(自施設責任症例)、自施設で実施した初回治療のみ>
※件数は延べ件数。外科的治療と化学療法を組み合わせて行った場合には、どちらの項目でもカウントされる。



