更新日:2025年9月8日

診療録自動要約AI「Laplace(ラプラス)」のご紹介

未来をひらく、AIのちから

AIの進化は、未来の扉を静かに開く魔法のようです。
情報があふれる今、AIは必要な知識をすばやく整理し、私たちのそばでそっと支えてくれます。
医療の現場でも、記録の要約や情報の整理など、日々の業務を軽やかにする力を発揮しています。
Laplaceは、そんなAIの可能性を医療に届けるために生まれました。
あなたも少しだけ、この未来の世界を覗いてみませんか?
きっと、これからの医療を支えるヒントが見つかるはずです。


Laplace

診療録自動要約AIとは

看護師の業務負担を少しでも軽くできないか――
 そんな思いから、当院医療情報部ではインターネットに接続せず、安心・安全に使えるAIシステムを、できる限りコストをかけずに構築する方法を模索しました。

こうして誕生したのが、診療録自動要約AI「Laplace(ラプラス)」です。
Laplaceは、日々の診療記録をもとに、AIがサマリの案を自動生成するシステムです。

 医師、看護師が日常的に作成している記録などをAIが読み取り、退院サマリなどに活用できる要点をわかりやすくまとめた文章を出力します。
 その結果、医療従事者がゼロから要約を作成する手間が大幅に軽減され、業務時間の短縮はもちろん、記録内容の標準化にもつながっています。

※ Laplaceは当院医療情報部がサーバー構築からプログラミングまでを行って開発したシステムです。

システムの特長

◎安全性
インターネット接続不要の、院内完結運用

 本システムは、院内に専用のAIサーバを設置し、完全オフライン環境で稼働しています。外部ネットワークとの接続を一切必要としないため、患者情報や医療記録が外部に流出するリスクを徹底的に排除しています。医療機関として最も重要な「情報セキュリティ」を守りながら、AIの利活用を実現した点が大きな特長です。


◎経済性
高性能・低コストを両立する設計

 AIの中核となる大規模言語モデル(LLM)には、精度の高いオープンソースモデルを採用しました。これにより、高額なライセンス料やクラウドサービス利用料が不要となり、初期導入コストおよびランニングコストを大幅に抑えることができました。限られた医療資源の中でも、無理なくAI活用を推進できる設計となっています。


◎効率化
情報収集の時間を短縮

 AIが記録内容を自動で読み取り、必要な情報を迅速に検索・整理することで、日々の情報収集にかかる時間と労力を大幅に軽減します。これにより、医療従事者は治療やケアといった本来の業務により集中できるようになります。Laplaceは、情報整理という事務作業を静かに担う「縁の下の力持ち」として、現場の効率化を支えています。

Laplaceの機能

 ※詳細は項目名をクリックしてください。

3日間サマリ

入院患者の看護記録を自動で3日間ごとに要約します。これにより、医療従事者の情報収集にかかる時間を劇的に削減し、常に最新の患者情報を把握できる環境を提供します。
3日ごとの自動サマリは、以下のようなメリットをもたらします。

★迅速な状況把握

病状悪化、新たな合併症、治療効果の変化など、重要な情報を短時間で確認できます。緊急性の高い状況にも迅速に対応し、治療方針の早期判断を支援します。

★情報共有の効率化

回診や引き継ぎ、カンファレンスにおいて、常に最新かつ統一された要約を共有。情報伝達の齟齬をなくし、チーム全体の連携を強化します。

★経過の可視化

時系列でサマリを追うことで、病状の変化や治療経過を視覚的に把握しやすくなり、今後の治療計画立案に役立つ示唆を得られます。

見本画面
3日間サマリ

退院・転院サマリ【看護師】

日々のケア業務に加え、多岐にわたる記録作成に膨大な時間を費やしていませんか?

特に、患者さんの情報共有に不可欠な退院・転院サマリの作成は、膨大な看護記録からの情報抽出・整理・文章化に多大な時間と集中力を要し、大きな負担となっているのが現状です。

入院期間が長くなるほど、看護記録は膨大になり、その中から必要な情報(バイタルサイン、投薬状況、身体状況の変化、ケア内容、指導事項など)を一つ一つ拾い上げ、要約する必要がありました。これは時間だけでなく、情報を見落とすリスクも伴います。

Laplaceは「退院サマリ作成ボタン」をワンクリックするだけで、AIがすべての看護記録を解析・要約し、高品質な退院・転院サマリを自動で生成します。

「自動作成」と聞くと、網羅性や正確性に不安を感じるかもしれません。しかし、Laplaceは最先端の自然言語処理技術と機械学習アルゴリズムを駆使し、入院期間中の膨大な看護記録を深く理解し、適切かつ包括的に要約します。

見本画面
退院・転院サマリ(看護師)

退院サマリ【医師】

Laplaceの最大の特長は、「退院オーダー連動型の自動サマリ作成」です。

先生方が作成される退院サマリの「質」が、担当医や症例によってばらつくことに、課題を感じてはいませんか?

入院日・手術日・退院日といった最低限の情報のみで構成されたサマリでは、次の入院や職員間の情報連携が不十分になりかねません。
「簡潔すぎるサマリでは、患者さんの全体像が掴みにくい...」「多忙な中で、充実したサマリを作成する時間がない...」

そんな先生方の悩みを、AIシステム「Laplace(ラプラス)」が解決します。

どんな患者さんでも、一貫して「質の高い」サマリを自動生成
Laplaceは、先生方が電子カルテ上で退院オーダーを入力するだけで、その情報と入院期間中の診療記録を連携し、網羅的かつ医学的に正確な退院サマリを自動で生成します。
これにより、担当医の経験や時間的制約に左右されることなく、どのような患者さんにおいても、常に均一で質の高いサマリが提供可能になります。

見本画面
退院サマリ(医師)

看護計画

患者さんの入院前から始まる看護の質向上は、医療現場における長年の課題です。

特に、個別の看護計画立案は、膨大な情報収集と専門的なアセスメントを要する、時間と労力がかかる作業でした。

Laplaceの最大の特徴は、「入院前看護計画の自動立案」です。AIが、入院前の看護記録(面談記録、問診票など)を自動解析し、最適な看護計画案を提示します。

これにより、これまで看護師が手作業で行っていた情報抽出、思考プロセス、記述作業といった複雑なタスクをAIが担い、大幅な業務効率化を実現します。

「自動立案」と聞くと、画一的な計画が懸念されるかもしれませんが、Laplaceは患者さん一人ひとりの個別性を深く理解し、病状だけでなく、年齢、生活背景、家族構成、社会的因子、そして患者さん自身の意向なども考慮に入れた上で、最適な計画を提案します。

生成される計画案には、適切な看護診断、具体的な目標設定、そして実現可能な看護介入までが一貫して含まれます。熟練の看護師が隣で一緒に計画を立ててくれるように、AIが看護師の思考プロセスをサポートし、質の高い計画案を迅速に提供します。

見本画面
入院前看護計画案

現病歴

Laplaceは、入院オーダーをトリガーに、患者さんの入院前の電子カルテ記録(外来カルテ)をAIが瞬時に解析し、必要な情報を抽出。

最先端の自然言語処理技術と深層学習アルゴリズムを駆使し、主訴の詳細、症状の経過、既往歴との関連、検査結果の要約、患者さんの背景情報などを論理的かつ医学的に正確に自動生成します。

この画期的な機能により、医師・看護師の皆様は、生成された現病歴を迅速に確認し、必要に応じて微調整を加えるだけで、患者さんの病態を的確に把握できます。記録作成にかかる時間を劇的に短縮することで、患者さんとの対話や診療に集中できる時間を創出し、 入院にかかる業務を軽減します。

さらに、過重な記録業務から解放され、疲労軽減とワークライフバランスの改善にも繋がります。

Laplaceは、AIが医師・看護師の皆様の「最強の医療アシスタント」となり、日々の業務を力強くサポートすることで、その専門性と人間性を最大限に発揮できる環境を創造します。

見本画面
現病歴

看護記録サポート

看護記録は、患者さんの安全と質の高いケア、そしてチーム医療を支える要です。しかし、多忙を極める現場で、その質を維持・向上させることは大きな課題ではないでしょうか。

特に経験の浅い看護師の教育には、時間的・人的コストがかかり、教育担当者の負担も少なくありません。

Laplaceは、この状況を根本から変えます。あなたが作成した看護記録をLaplaceに「送信するだけ」。AIが瞬時に記録を分析し、改善点や良い点を具体的に提案します。

看護記録サポートは、最終的に患者ケアの質全体を向上させます。

★正確な情報共有

質の高い記録は、多職種間での正確な情報共有を可能にし、医療事故のリスクを低減。

★根拠に基づいた看護

アセスメントが深まることで、より根拠に基づいた看護介入が可能に。

★スムーズな引継ぎ

網羅的で分かりやすい記録は、円滑な引継ぎを促進し、患者ケアの中断を防ぎます。

Laplaceは、AIが看護記録作成の「コーチ」となり、看護師の皆様が自信を持って質の高い記録を作成できるようサポートします。記録業務の負担を軽減し、看護師の専門性を高め、そして何よりも患者さんにとってより安全で質の高いケアを実現します。

見本画面
看護記録サポート

今後の展開

 Laplaceは、看護記録の要約支援を出発点としていますが、その可能性は無限大です。最新のLLM(大規模言語モデル)を簡単に実装できるため、様々な医療業務に応用可能です。単に診療記録業務を支援するだけでなく、会議録の文字起こし、医療安全関連業務、データ分析など、多岐にわたる支援を視野に入れています。
 Laplaceの大きな強みは、病院職員が開発を手掛けている点にあります。これにより、外部ベンダーに依存することなく、医療機関の具体的な要望を迅速にシステムに反映できます。開発速度も非常に速く、次々と新しい機能が実装されています。(例:医師退院サマリ機能は、開発着手からわずか2週間で稼働を実現しました。)

現場の声に耳を傾けながら、柔軟に進化し続けるAI――それがLaplaceの強みです。

お問合せ

 Laplaceに関するお問い合わせ・見学等は以下より受け付けています。

 担当:医療情報部 伊藤まで ito_hidetaka@eph.pref.ehime.jp

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