更新日:2021年3月30日

腎がん

腎がんについて

腎臓とは

腎臓は背骨をはさんで左右に一つずつあります。その働きは、血液をろ過し、老廃物を尿として排泄し尿毒症にならないようにする作用や、造血ホルモンを分泌したり、血圧を調整したり、ビタミンの活性化も行うなど多岐にわたっており、生体の維持に欠かせない臓器です。

腎臓にできる腫瘍

良性の腫瘍もありますが、悪性腫瘍が多いのが特徴です。 代表的な腫瘍が腎細胞がんです。腎細胞がんは腎実質に発生します。その他腎盂にもがんが発生し、腎実質に浸潤してくることもあります。

腎嚢胞は腫瘍ではありませんが、嚢胞性腎がんもあるため注意が必要です。

治療

腎細胞がんの治療

治療の第一選択は、可能であるなら手術です。手術には、根治的腎摘除(腎臓ごとがんを摘除する方法)と腎部分切除(がんの部分だけを摘除する方法)があります。がんの大きさ、広がり具合、患者さんの体力・コンディション、患者さんの希望などにより、手術のやり方が決定されます。最近は、偶然発見される小さい腎がんが多く、それらに対しては腎部分切除が施行されることが多くなっています。がんが腎臓だけに留まらず、転移のある場合でも腎摘除が行われることがあります。

手術が適当でない場合、或いは再発を認めた場合では、分子標的薬免疫チェックポイント阻害剤による治療が選択されます。分子標的薬は、腎がんが成長する経路の特定の部位をおさえる薬剤です。2016年から免役チェックポイント阻害剤 ニボルマブが保険適応となり、その後も新しい治療薬が認可され、治療の選択肢になっています。当科ではがん治療認定医が分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤による治療を専門に行っています。また転移病変の症状を緩和するために、放射線を用いることもあります。

当科で行う手術の特徴

腎細胞がんの手術療法は従来、開腹での手術が一般的でしたが、最近は内視鏡的に摘出する方法が普及してきました。当科では1999年に腎臓に対する内視鏡手術をいち早く導入し、現在ではほとんどすべての泌尿器科手術を内視鏡下(腹腔鏡下)で行っています。内視鏡下で行うメリットは従来の開腹術に比べると手術による出血が少なく、術後の疼痛も軽く、入院期間も短縮できることです。拡大視野で手術をできるため、解剖がわかりやすくきれいな手術が可能です。当院には泌尿器内視鏡手術認定医もおり、豊富な経験をもとに手術を安全に施行しています(泌尿器科医師紹介ページをご覧ください)。

腎部分切除術

腎臓内にあるがんとその周辺の組織の一部を切除します。腎機能が温存できるため、将来的な腎不全や心臓血管系の病気になるリスクを減らすことが可能です。 2016年4月からロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術が保険適応となり、当院では腎部分切除術はダ・ヴィンチを使用しロボット手術で行っています。径がT1a(4cm以下)の腫瘍に対しては全ての症例で、またT1b(4cm~7cm)の症例に対しても適応がある場合には積極的に行っています。当院では現在までに130例以上(年間30例以上)ロボット手術を行い良好な成績を得ています。 ※出典:2019年診療業務報告書

根治的腎摘出術

腎臓、副腎、周辺脂肪を一塊にして切除します。当院では主に径が4cm上の腫瘍に対して行われます。ほとんどが腹腔鏡下での手術ですが、一部進行症例では開腹手術も施行しています。下大静脈や上大静脈、あるいは周囲への浸潤がある腎がんでも、治癒の可能性があれば他科(肝臓外科など)と連携し、積極的に手術を行っています。

腎がんの情報については、がん情報サイト(Physician Data Query)、NCCNガイドライン日本語版、日本癌治療学会がん診療ガイドラインもご参照ください。

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