放射線部
放射線部
放射線部は、単純X線撮影・CT・MRI検査・血管撮影の画像診断やシンチグラフィ・SPECT・ PET-CTの核医学検査及びガンマナイフ・ライナックで悪性腫瘍などに対する放射線治療の業務を行っています。画像データについては、PACS(Picture Archiving and Communication System)の導入によりフイルムレス化となり、診断結果が病院システム上に配信されています。高度な画像情報や正確な検査結果を臨床サイドに提供し、患者さんに安心して検査や治療を受けていただけるよう心がけています。
認定資格
第1種放射線取扱主任者 | 5名 |
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放射線治療専門放射線技師 | 3名 |
放射線治療品質管理士 | 2名 |
医学物理士 | 1名 |
核医学専門技師 | 2名 |
検診マンモグラフィ撮影認定診療放射線技師 | 6名 |
医用画像情報専門技師 | 1名 |
医療情報技師 | 4名 |
医療画像情報精度管理士 | 2名 |
血管撮影・インターベンション専門診療放射線技師 | 3名 |
X線CT認定技師 | 2名 |
肺がんCT検診認定技師 | 2名 |
放射線管理士 | 2名 |
放射線被ばく相談員 | 1名 |
Ai認定診療放射線技師 | 1名 |
放射線機器管理士 | 1名 |
臨床実習指導教員 | 1名 |
救急撮影認定技師 | 1名 |
衛生工学衛生管理者 | 1名 |
第1種衛生管理者 | 1名 |
検査の紹介
一般X線撮影検査(FPDシステム)
一般撮影検査では、歯科領域を除き、全ての検査でFPD(フラット・パネル・ディテクター)システムを使用し検査を実施しています。この装置を使用することにより、放射線被ばくを低減しながら(従来のCRシステムと比較すると20~40%程度低減)、より高画質な画像が得られ、より高度な検査ができるようになりました。
例えば、胸部X線検査(DES・デュアルエネルギーサブトラクション)では、骨成分(肋骨、胸椎、石灰化など)と軟部成分(肺血管・気管支など)を分離させることが可能になったため、病変の観察が容易になりました。また、過去に当院で胸部X線撮影検査を実施していた場合は、過去検査画像と今回実施した検査画像との差分だけを表示させたりすることができるようになり、読影を容易にすることができるようになりました。(この検査を実施するには、医師の指示が必要です。)
乳房撮影検査(マンモグラフィー)では、トモシンセシス(断層像)が撮影可能となり、組織の重なりを効果的に減少、または、排除させ判別しにくかった乳腺構造をより明確に診断できるようになりました。(この検査を実施するには、医師の指示が必要です。)
X線透視検査

縦、横43cm×43cmの大視野FPDを使用したX線TV装置を導入し、より鮮明な画像がえられます。少量のX線で透視下で検査を行います。食道・胃・十二指腸・小腸などの胃透視検査では、バリウム等の造影剤を飲み、形態・粘膜を観察しながら、必要なところは、一般撮影と同じように撮影しながら検査をします。その他、骨折や腸重積の整復、胆管や尿管の閉塞に対する減圧術をはじめ、種々の検査・施術が実施されています。
CT検査

CT装置の中心にあるトンネルに身体を入れて、身体の周りからX線をあてることによって、体の中の断面(輪切り)をみることができます。体の中の様子を、より詳しく検査するために、造影剤(ヨード剤)を使用することもあります。当院のCTは、1回転で複数のデータを収集できるCT(マルチスライスCT)が導入されており、呼吸を止めにくい乳幼児や高齢者、重篤患者さんでも短時間で検査ができます。もっと詳細に観察したい場合は、検査した部位を細かい断面(0.6mmの厚さ)にすることも可能であり、1,000枚以上の画像から診断することもあります。また、この薄切りにした画像を専用の画像解析装置へ送り、心臓や各部位の血管や骨の3次元画像(立体画像)を作成し、血管の狭窄・閉塞、動脈瘤の診断や骨折状態の診断、手術のシミュレーションも行っています。当院には、最新の128列CT装置2台、256列(2管球)CT装置1台の合計3台が配備されています。
MRI検査

MRIは強力な超電導磁石と電磁波を使用して検査を行います。からだの輪切りの画像だけでなく、縦・横・斜め・あらゆる方向から撮影することができます。特に脳や脊椎・四肢・下腹部等の病気を診断するのに優れています。また、造影剤を使わなくても血管の描出が可能なことも特徴です。さらに詳しい画像を得たい時には造影剤を使用することもあります。検査時間は15分~40分程度かかります。痛みや刺激を感じることはありませんが、装置のしくみ上、かなり大きな(工事現場のような)音がします。当院では、3テスラMRI装置2台・1.5テスラMRI装置1台を設置しています。基本的にはテスラ(磁力)が大きいほど高精細な画像を得ることができますが、テスラの違いによって得意不得意分野があるため、検査の目的に応じて装置を使い分け検査を実施しています。
血管撮影検査(心カテ検査・頭部血管検査・アンギオCT検査)

- 血管造影検査とは
血管内に細い管(カテーテル)を挿入し、先端を目的部位まで到達させ、その管から造影剤を注入して血管の状態や血流、栄養される腫瘍などを連続して撮影する検査です。カテーテルは通常、股関節付近にある大腿動脈(静脈)や腕の動脈(静脈)から挿入します。血管撮影装置の画像処理(DSA)によって骨や軟部組織を消去し、目的となる血管のみを描出することができ、病気の診断や評価に有用です。
- IVR
診断検査と平行してIVR(Interventional Radiology)と呼ばれる血管内治療を行います。バルーン(風船)カテーテルを使用して血管の狭窄部位を拡げたり、腫瘍を栄養している血管に抗がん剤などの薬を注入したり、脳動脈瘤の場合、金属製のコイルを動脈瘤の中に詰め破裂を防ぐなどの治療も行われます。手術を必要としないため、身体に与える負担が少なく、病気の場所だけを正確に治療でき、入院期間も短縮できるなど優れた特徴を持っています。
- 血管撮影装置
循環器系バイプレーン装置と脳外科バイプレーン装置、全身用シングルプレーン装置+CT装置の3台を導入しております。フラットパネルディテクターを用いて高解像度の画像が得られ、従来の方式より約50%の被曝低減が可能です。3D撮影したデータから立体的に画像を表示できます。またStent 強調撮影などの特殊機能が装備されています。
- 心臓血管撮影
心臓カテーテル検査は、カテーテルの先端を冠動脈の入り口まで進め,造影剤を流してX線で冠動脈の写真を動画像で撮影する検査です。冠動脈の造影(CAG)を行い、治療が必要となった場合には、バルーン・ステントなどを用いて閉塞又は狭窄した血管内腔を拡大する経皮的冠動脈血管形成術(PCI)を行います。IVUS(血管内超音波装置)やOCT(光干渉断層装置)を併用して高精度な診断や治療を行うことが可能です。その他、心室の造影検査により心機能の評価や、右心カテ(直接右心室、肺動脈などの内圧を測ったりする検査)を行います。また、ペースメーカ・ICD・CRTDの埋め込みも行っています。
- カテーテルアブレーション
不整脈に対するIVR療法で電極カテーテルで心内電位を計測して不整脈の伝達経路を高周波で焼灼して治療する方法です。
- 脳血管撮影
頭・頚部血管造影の検査を行います。3D—DSAにより血管を立体的に確認できます。バイプレーン(2方向同時撮影)により複数の方向から確認しながら検査や治療が行います。 脳動脈瘤に対するコイル塞栓術、頸動脈狭窄に対するステント留置術(CAS)、閉塞血管に対する血栓溶解療法、動静脈奇形に対する血管塞栓術など脳血管内に関する治療(脳血管内手術)を行っています。
- 腹部、骨盤、四肢造影
肝臓・腎臓・膀胱・子宮などの腫瘍性病変および血管性病変、下肢の閉塞性動脈硬化症、動静脈奇形など全身の検査や治療を行います。腫瘍部位への栄養血管を塞栓する血管塞栓術(TAE)や、カテーテルによる腫瘍部位への抗腫瘍剤の動注(TAI)、シャントPTA(経皮的血管形成術)、下肢動脈等の動脈硬化症の血管形成術、深部静脈血栓症による肺塞栓症の予防として下大静脈フィルター留置術等も行われています。血管撮影室内専用のCT装置と組み合わせて治療部位や効果の診断をしながら治療が可能です。疾患によっては手術と同等の治療効果が得られることがあります。
骨塩定量検査

骨の密度(カルシウム量)を測ることによって骨粗しょう症・ホルモンバランス異常・先天性代謝性疾患の診断や健診等(人間ドックを含む)の予防医学に使用されます。当院では2つの異なるエネルギーのX線を人体に照射し、その吸収の差から骨量を測定する方法DXA法(デキサ法)で脊椎(腰椎)と股関節の2か所の検査を行い、より正確な検査を行っています。
体外衝撃波結石破砕術(ESWL)

身体を切らずに体の外から衝撃波を当てて尿路結石等を細かく砕き、尿と一緒に排出させる治療法です。1回の治療で完全に砕石されるとは限りませんが、何回かに分けて治療を行うことになったとしても、以前のように手術で大きな傷を作るより、はるかに患者さんの身体の負担は楽な治療法です。
RI検査(核医学検査)

RI検査は、微量のγ線(ガンマ線)が放出される放射性医薬品を、静脈注射または内服といった方法で投与し、シンチレーションカメラという特殊な装置で撮影します。 使用される放射性医薬品には、目的とする臓器(脳・心臓・骨など)に集まりやすい性質があり、その度合いにより位置・大きさなどの形態情報や血流情報、代謝などの機能情報を画像として得ることができます。ただ、検査部位・放射性医薬品の種類によっては投与してから集まるまでに差があるため、撮影するまでの時間が数十分~数日後になる場合もあります。 現在、2台のカメラが備えられており、1台は脳・心臓を主に、もう1台は、全身検査を主目的とした機器構成としています。
PTE-CT検査

PET検査は、CTやMRIなどの形をみる検査とは異なり、細胞の代謝(主に糖代謝)を画像で見ることができ、がん・脳・心臓などの病気の診断に有用な検査です。当院では、このPET装置と、CT装置の2つの装置が融合した最新鋭のPTE-CT装置を2台導入しています。PET検査に用いる放射性医薬品はとても短い時間で消滅するため、施設内に設置された小型のサイクロトロンと呼ばれる装置により、生成・合成し供給しています。
放射線治療

手術による外科療法、抗がん剤による化学療法と並ぶがん治療のひとつで、放射線により腫瘍細胞内のDNAを切断することにより、腫瘍細胞に致死的ダメージを与え腫瘍を消失、または、縮小させます。手術をすれば、身体の形や機能が損なわれるような場合でも、放射線治療では切らずにがんを治療することが可能です。また、身体への負担が少ないのでご高齢の方、合併症があって手術が受けられない方でも治療することができます。2009年5月から、複数(多方向)の放射線ビームを組み合わせることで強弱をつけ、腫瘍の形に適した放射線治療を行う強度変調放射線治療(IMRT)が導入されています。この装置は、腫瘍組織に放射線を集中させ周囲の正常組織への照射を減らすことができるため、副作用を増加させることなく、より強い放射線を腫瘍に照射することが可能となり治療効果が大きくなります。最新の装置を更新により新たに導入します。2台の高エネルギー放射線治療装置と頭部専用の高精度な放射線治療ができるガンマナイフ装置1台を設置しています。
- 高エネルギー放射線治療装置(強度変調放射線治療装置)(4・10MV) 1台
- 高エネルギー放射線治療装置(強度変調放射線治療装置)(6・10MV) 1台
- ガンマナイフ治療装置 1台
ガンマナイフ治療装置

ガンマナイフ治療装置は192個のコバルト60の線源を半円球状(ヘルメットのような形状)に並べ、ここから照射されるガンマ線の細いビームを虫めがねの焦点のように集め、病巣部にのみ大きな線量を与えることができる装置です。つまり、周囲正常脳組織へはほとんど照射を受けることなく、病巣のみに高エネルギーの照射が行えるようになっています。0.3 mm以下の極めて高い精度で目標病巣に大量放射線照射を行うことが出来るため手術と同等の効果を得ることも可能です。