膵がん

治療方針

治療については原則的にガイドラインに従って行います。

  •  最新の情報で数年ごとに改定
  •  診断から治療までの内容を含む
  •  進行度に応じた治療法
  •  手術の適応
  •  抗がん剤の選択

診療の流れ

治療の流れ

膵臓の腫瘍について

膵がんとは?

  • 膵がんとは膵臓から発生した悪性の腫瘍のことを指すが、一般的には膵管がんのこと
  • 膵管上皮(膵導管細胞)から発生し、膵臓にできる腫瘍性病変の80-90%を占める
  • 根治のためには手術が必要

内分泌腫瘍

  • インスリンやグルカゴンなどのホルモンを産生する細胞から発生
  • 分泌されるホルモンの種類や量によって症状や検査所見は様々
  • ホルモンを分泌せず症状がない腫瘍(非機能性)もある
  • 全体の35%、非機能性の40%以上が悪性
  • 原則として手術が必要

嚢胞性腫瘍

  • 膵炎による嚢胞以外は症状なく偶然発見されることが多い
  • 膵臓にある嚢胞(内部に液体がたまっている袋状のもの)の大部分は良性で経過観察可能
  • ただし腫瘍による嚢胞の場合には精査が必要

  漿液性嚢胞腫瘍(serous cystic neoplasm; SCN)

  粘液性嚢胞腫瘍(mucinous cystic neoplasm; MCN)

  膵管内乳頭粘液性腫瘍(intraductal papillary mucinous neoplasm of the pancreas; IPMN)など

  • 大きさや形、経過中の変化などにより膵がんと同様の手術が必要

膵がんの症状について

膵がんの症状

  • 初期には自覚症状がないことが多く、症状のない場合が15.4%、2㎝以下の小さながんでは18%以上が無症状で、体重減少や消化不良などのはっきりしない症状も多いため、発見が遅れやすい傾向にあります。
  • 自覚する初発症状としては腹痛、腰背部痛が多く、膵臓はむき出しで背骨の前に横たわっているので、周囲の神経にひろがると持続する痛みが出現します。
  • 膵頭部にできた腫瘍では黄疸が出現することがあります。胆管を圧迫して胆汁の流れが妨げられますが、黄疸が出た場合にはむしろ早期に発見される場合もあります。
    • 膵頭部の腫瘍は腹痛、黄疸、体重減少など症状が出やすく早期発見例もあります。膵体部や膵尾部では症状が出にくいため発見が遅れやすく、進行して痛みが出るまで気づきにくい傾向にあります。

膵癌患者305人の面接調査

  • 発見の6ヶ月以上前に食欲低下(4.6%)
  • コーヒーや喫煙、ワインが嫌いになったりするなど嗜好の変化(3.6%)

●膵臓がんは自覚症状に乏しく見つけにくい

-糖尿病の発症や急激な悪化がある場合、家族に複数の膵臓がん患者さんがいる人は検査をしましょう。

-膵炎や膵嚢胞で検査を勧められたら膵臓がんで手遅れになることの無いよう積極的に検査を受けましょう。

●膵臓がんは見つかったら手遅れ?

   -切除できれば完治が可能な場合もあります。

●手術できない場合は?

   -それぞれの病状や年齢、体力を考慮し、希望を優先した選択肢を提供します。

   -抗がん剤などの治療で手術可能になることもあります。

膵がんの診断

  • 腹部超音波(エコー)検査は簡単にできますが、がんの検出率は高くありません。
  • 造影剤を使った腹部CTやMRIで、ほとんどの場合は検出可能です。
  • PET―CT検査(陽電子放射断層撮影法)でほかの臓器への転移の有無を調べます。

CTやMRIでも確定しないとき

  • ERCP(内視鏡による膵管造影)やEUS(内視鏡による超音波検査)を組み合わせます。いずれも高感度で膵がんを検出可能です。
  • 当院ではEUS時に、実施可能な施設はまだ少ないエラストグラフィ検査(組織の硬さを評価する検査)を併用することで診断能の向上を目指しています。
  • 内視鏡的逆行性胆管膵管造影 (ERCP)や内視鏡的経鼻膵管ドレナージ術 (ENPD)やEUSを用い、膵から直接組織を採取する超音波内視鏡下穿刺吸引術 (EUS-FNA)も積極的に行っています。
  • 特に診断に難渋する症例、抗癌剤投与前などには可能な限り確定診断を細胞、組織診レベルで行うことを目指しています。
  • PET検査(陽電子放射断層撮影法)が有用な場合もあります。

   -腫瘍の良悪性の鑑別に有用

   -全身の検査であり転移の検出に優れる

   -2㎝以下の小さな腫瘍については微妙

膵がんの治療

  • 膵頭部のがんで黄疸があるときは、内視鏡などを使って速やかに黄疸を下げる処置をします。黄疸を放置すると生命に関わる重大な障害が出るためです。
  • 膵がんを治す唯一の方法は外科手術です。
  • ほかの内臓(特に肝臓)に転移があったり、複数の大きな血管が巻き込まれているときは手術をしても治らないので、抗がん剤治療などを行います。
  • 手術ができない場合は、長生きすることは極めて困難となります。

 

外科手術

  • がんの発生部位によって大きく異なります。
  • 膵頭部がんでは胆管、膵頭部、十二指腸を一塊として摘出します。6~7時間かかります。
  • 膵体尾部がんでは膵体尾部と脾臓(ひぞう)を摘出します。3~4時間かかります。
  • 低悪性度の腫瘍については腹腔鏡下手術のこともあります。
  • 膵頭部がんでは術後2~3週間、膵体尾部がんでは術後1~2週間程度の入院が必要です。
  • 術後の合併症でもっとも怖いのは、膵液が漏れることです。膵液は強い消化作用があるので、おなかの中に漏れるとほかの内臓を消化して腹膜炎を起こしたり、血管を消化して出血することがあります。私たちは膵液の漏れを防ぐように日夜、努力しています。
  • 手術で病巣が取り切れた場合でも、膵がんは高率に再発をおこすため、再発予防目的で抗がん剤治療を行うことが推奨されています。治療は外来で可能です。

膵がんの手術について、詳しくは日本消化器外科学会 市民のみなさま向けサイトホームページをご覧ください。

 

抗がん剤治療

  • ティーエスワンという飲み薬とジェムザールという注射薬が中心です。場合によっては二つの薬を同時に使う場合もあります。
  • 最近、ジェムザールにアブラキサンを追加する治療法と、FOLFILINOXという複数の薬を使う治療法が認可され、以前よりも効果が高くなりましたが、副作用については更に注意を要します。

放射線治療

  • ある特定の条件を満たした場合は、重粒子線治療が有効なことがあります。ただし四国にはこの設備はありません。保険が使えないので治療費は高額となります。
  • 抗がん剤治療や放射線治療が良く効いた場合は、腫瘍が小さくなって外科手術が可能となることがあります。

手術の様子

  • 肝胆膵領域の専門医によるグループ診療
  • 年間約40例の膵臓がん手術を実施
  • 手術件数は年々増加傾向
  • 新病院での最新設備を活用
  • 手術の様子1
  • 手術の様子2