肝がん

治療方針

 ガイドラインや腫瘍の悪性度などを加味して治療方針を決定していきます。

 

治療法の大まかな選択

治療方針

  • 治療方針の決定には肝がんの腫瘍進行度と肝臓の予備能力が重要です。
  • 腫瘍の進行度とは別に生物学的悪性度も治療の成否に関わってきますが、ガイドラインには組み込まれていません。
  • 腫瘍マーカー(AFP、L3分画、PIVKA-II)が異常に高値の方や悪性度が高いと考えられる腫瘍形態(多結節癒合型など)は、内科的治療ではなく外科的治療が望ましい場合もあります。
  • 通常は肝がんの診断や拾い上げ検査には不適とされるFDG-PET/CTですが、肝がんの中でも異常な悪性度を示すものではFDGの集積がみられ、生物学的悪性度評価に有効なことも分かってきています。同時に無症状で重複する他臓器のがんも検出することで、治療成績の向上につながります。

 当院では、肝がん診療に関わる内科・外科・放射線科が週1回集まり、治療を予定している症例、臨床上疑問が残る症例の経過や画像の検討、グレーゾーンに位置する症例の治療方針についての討論を行い、各科の長所を活かしながらより良い治療成績を目指しています。

肝がんについて

  • 肝原発性の肝がんと転移性肝がんの二通りあります。
  • 多くの肝がんはウィルス性肝炎・肝硬変やアルコール性肝硬変など肝疾患を背景に発生するため、定期的な画像検査により早期発見につとめることが重要です。
  • 治療後も肝内の再発が多い病気です。
  • 治療後の肝臓の能力を保つことも、生活や再発治療に大きく関わる非常に重要な要素です。
  • 腫瘍の「進行度」と同時に「肝予備能」が治療に大きな影響を与えます。

肝がんの診断

肝がんの診断

肝がんの治療

 物理的にがんの部分を取り除く以上に確実な治療はありません。ただし、手術が体に与える負担や、残った肝臓が小さくなることによる影響を十分に考慮する必要があります。がんの位置や大きさ、肝臓の状態を慎重に評価した上で適応を決定します。

 手術のみで治療困難な場合は、内科と外科の協力により根治を目指します。

 

ラジオ波焼灼療法(RFA)

  • 基本的には大きさが3cm以下で数が3個以内の症例に行います。
  • 体外からエコーを見ながら、特別な治療用の針を腫瘍に刺して、熱で焼き固めます。
  • 体に対する負担が少ない利点がありますが、エコーで見えない場所や、大きな血管が近くにあると確実な治療は困難です。
  • 小さい腫瘍でも悪性度が高いと判定した場合はRFA後に再発が多いことがわかっており行いません。

 

肝切除

  • エコーで確認しながら手術を行うため確実に病変を切除できます。
  • 誰でも手術が可能なわけではありません。正常な肝臓では半分程度を切除しても問題ありませんが、肝機能が悪い人は少量の切除でも肝不全を起こして生命に関わることがあります。
  • 患者さんの肝機能と腫瘍を切除したあとの肝臓の大きさを天秤にかけて、手術が安全に行えるかを判定します。
  • 高度進行がんを除き、腹腔鏡(おなかの中を観察する内視鏡)を使って小さなキズで手術することが可能となっています(腹腔鏡下肝切除)。
  • 希望によりかかりつけ医と一緒に治療するがん地域連携パスも運用しています。
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経カテーテル的動脈塞栓術(TAE)

  • RFAや手術治療ができない場合に行います。
  • 肝臓に血液を送る動脈内にカテーテルという細い管を進めて、抗がん剤とともに動脈を一時的に詰めてしまう特殊な物質を流します。
  • 詰めた物質は通常は数ヶ月で洗い流されるため、繰り返し行う必要があります。

 

化学療法

  • ネクサバール、レゴラフェニブ、レンバチニブという分子標的薬が有効なことがあります。
  • TAEに反応の不良な方や、肝臓以外の内臓(主に肺や骨)に転移が出た場合で、肝機能が良い人に限って使用されます。

診療実績

当院の肝切除数

当院における肝がんの切除件数

 

当院における初発肝がんの治療選択の推移(各治療件数)

当院における初発肝がんの治療選択

 根治術が施行できた症例が年々増加し、全体の生存期間が延長しています。 結果として、再発は繰り返しても、治療継続・コントロールが可能な方が増えています。

院内がん登録データ:肝臓(2015年1月~12月)

 ※がん登録およびステージとは・・・こちらをご覧ください。

登録数と男女割合

登録数と男女割合

年齢の割合

年齢の割合

詳細部位別登録数

詳細部位別登録数

UICC TNMステージ<症例区分2・3(自施設初回治療症例)のみを集計、病理学的ステージは原発巣切除のみを集計>

UICC TNMステージ

UICC TNMステージ

取扱い規約分類 治療前ステージ別 治療の件数<症例区分2・3(自施設初回治療症例)のみを集計>

※外科的治療・体腔鏡的治療・内視鏡的治療は原発切除のみ集計

※件数は延べ件数であり、例えば、外科的治療と化学療法を組み合わせて行った場合には、どちらの項目でもカウントされる。

取扱い規約分類治療前ステージ別治療の件数