院長あいさつ

愛媛県立今治病院 病院長 川上秀生

光風動春

令和5年5月8日、3年以上にわたるコロナウイルスとの戦いが新たな段階に入りました。感染症法上の位置づけが「2類相当」から「5類」に変更され、インフルエンザと同様の扱いになりました。それに伴って、今年度中にどこの病院でもインフルエンザと同じように診療できる体制へと徐々に移行する事になりますが、分類が変わってもコロナウイルス自体が変わった訳ではありません。今のところインフルエンザの様に気軽に服用できる内服薬もありません。まだまだ油断できないウイルスです。県立今治病院は、今治市医師会関連の病院や済生会病院との連携を図るなど、引き続きコロナ患者を診療する体制を適切に維持していきたいと考えています。

また、当院は本年7月に紹介受診重点医療機関の指定を受けたところです。今後は紹介患者中心の診療へシフトするとともに、より一層の地域医療連携の推進に取り組み、今治圏域における公的中核病院の役割を果たしていきたいと考えています。

さて、今年度の県の当初予算に県立今治病院老朽化対策基本計画策定費が計上され、有識者や関係市町等で構成する委員会を設置のうえ老朽化対策を本格的に検討する事になりました。私も委員の一人としてしっかりと現場の声を届け、前向きな計画になる事を期待しています。

今年は現在の地に県立今治病院が建設されて40年目になります。時代は令和となりましたが、40年前、新病院が建設された時にどのような病院を目指したかをうかがい知る石碑が正門近くにあります。その石碑には「光風動春」と書かれています。禅の言葉で「明るく輝く光と、心地よい風が春を引き入れてくる」という意味で、「寛大でおおらかな気持ちが幸福や幸運、善きものを運んでくる」「心に明るさや快活さ、希望を見出してゆく姿勢を持っていると何事も好転してゆく」といった病気の人を励ます言葉です。病気の人は気持ちが落ち込んでいるものです。医は仁術、仁とは「おもいやり」です。私たち医療従事者が病気で当院を訪れた方におもいやりの気持ちをもって接する事で、少しでも前向きな気持ちになれば、病気も早く回復するという事をこの石碑に刻んだのではないかと思います。築40年が経過して病院施設は古びていますが、建設当時の初心を忘れず「光風動春」、患者様におもいやりの気持ちをもって、当院の基本理念である地域の皆様に信頼される良質な医療を提供していきたいと考えています。

  • 表面

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令和5年8月
愛媛県立今治病院 病院長 川上秀生

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