院長あいさつ
すべてにバリアフリーな病院を目指して
当院の老朽化対策基本計画が一部見直しのうえ、移転・新築に向けて動き始めました。改訂された基本計画で、「医療機関、医師会、市町との役割分担を明確化し、連携を強化した上で、不足する圏域の医療供給体制を補完する」と追記されています。
当院は紹介患者様を中心とした診療に重点をおいた紹介受診重点医療機関でもあり、その責務を果たすべく、関係市町や医師会との連携をこれまで以上に強化し、「地域の皆様に信頼される良質な医療」の提供を目指してまいります。
新病院では、施設の面でのバリアフリー化はもちろん、診療体制においてもバリアフリーの実現を目指しています。現状としては、診療科ごとの専門性は高いものの、複数科にまたがる複雑な疾患への対応には限界があり、地域の病院や介護施設との連携もさらに向上させていく必要があります。こうした中で最も困っておられるのは、多疾患を抱える高齢の患者様です。病院内の診療科、地域の医療機関、職種それぞれの間に存在するさまざまな課題を取り除き、「誰もが受けやすい医療」の実現こそが私たちの目指す姿だと考えております。
そのためには、診療科間、病院間、職種間を円滑に調整し、多疾患を横断的に診療できる"バリアフリーな診療"、すなわち総合的な診療の推進が重要です。このような総合的な診療の重要性は、地域医療構想の中にも示されており、当院の老朽化対策基本計画でも、当院のあり方として、そうした役割を担う「総合診療科」の設置検討が含まれています。日本ではまだ十分に定着していない総合診療ですが、診療のバリアフリー化に向け、幅広い視野を持って検討していきたいと考えています。
新病院の整備は、単なるハードの更新にとどまらず、診療体制や地域との連携も含めた"医療のバージョンアップ"ととらえ、真にバリアフリーな病院を目指して取り組んでまいります。
今後とも愛媛県立今治病院をよろしくお願い申し上げます。
令和7年8月 院長 川上 秀生