更新日:2021年3月25日

13N-アンモニアPET-CTとは

PETセンターにおいて、虚血性心疾患の診断に役立つ新しい検査が、2014年3月、四国で初めて保険診療可能となりました。
他の検査では判断の難しい虚血性心疾患でも、13N-アンモニアPET-CTで検査を行うことで、より的確な診断が可能となり、その後の治療方針に大いに貢献できるものと期待されています。

13N-アンモニアPET-CTって?

PET-CT
PET-CT

PET-CTでは、FDGと呼ばれるブドウ糖に類似した物質に18F(フッ素)と呼ばれる微量の放射性同位元素を付加した検査薬を注射し、がん細胞がブドウ糖をより多く取り込む性質を利用して、画像として捉えることで、がんの診断に役立てています。(がん細胞に色を付けたようなイメージです。)

そのPET-CTに18F-FDG ではなく13N(窒素)-アンモニアを検査薬として用いることで、心臓の筋肉に流れる血液量を測定することが可能となります。注射と同時にデータを連続的に収集することで、1分間の心筋の血流を数値化することができます。

従来の、心筋シンチ検査も信頼性は非常に高く、血流の良いところ悪いところという比較は容易なのですが、心臓全体の血流が低下している場合は、かえって判断が難しいこともありました。13N-アンモニアPET-CT検査では、心筋血流の数値化が可能なため、心臓の状態を正確に把握することができます。

また、当センターでは、安静と薬物負荷の検査を併せて行うこととしており、負荷をかけた時にどのくらい血流が増加するかも判るため、治療方針の決定や予後予測に非常に役立つと考えられます。

13N-アンモニアPET-CTはどこで受けられる?

アンモニア合成装置
アンモニア合成装置

13Nは、半減期が非常に短い(10分間)ことから、13N-アンモニアを合成するためには、専用の施設とサイクロトロンと呼ばれる加速器を持っていることが不可欠となります。また、保険適用のためには国から許可されたアンモニアの合成装置が必要です。さらに、正確な判断を行うためには専用の解析装置も欠かせません。

2020年12月現在、当院は、愛媛県でこれらの条件を満たしている数少ない保険医療機関です。

詳しい検査までの流れは13N-アンモニアPET-CT受診の流れをご覧ください。

13N-アンモニアPET-CTの安全性は?

画像解析ワークステーション
画像解析ワークステーション

13N-アンモニアの製造は、国の基準に則り、院内で定めたPET診療用放射性薬剤管理基準に基づき、薬剤師による各種試験を行い、基準に適合していることを確認しています。(万が一、基準をクリアできない場合は検査を行うことができません。)

13N-アンモニアPET-CT検査の被ばく線量は、約2~3mSv(ミリシーベルト)で、胃のエックス線検査よりも少ない量となっています。これにCT検査の被ばくも加わりますが、放射線の被ばくによる健康障害が起きる可能性はありません。ただし、注射針刺入時の痛みや投与時の不快感が稀に起こることがあります。

13N-アンモニアPET-CTの注意点

安静時と負荷時にそれぞれ1時間ほどの検査を2回行います。また、検査薬を上肢の静脈から投与いたしますので、検査の間は仰向けで上肢を挙上した姿勢(寝てバンザイした状態)の保持が必要となります。そのため、長時間の安静を保てない方や肩痛などで上肢を挙上できない方は検査できませんので、あらかじめご了承ください。
(※病状により安静時のみの検査となる場合もございます。)

おわりに

虚血性心疾患が増加している現在において、正確な心筋血流の評価が強く求められています。13N-アンモニアPET-CT検査はそれに応えることのできる検査となっています。

当センタースタッフはもちろんのこと、診療科や関係部署などが一丸となって、正確でより質の高い医療を提供できますよう、これまでも、これからも情報収集と研鑽に努めて参ります。

お問い合わせはPETセンターまでお願いいたします。

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