胃がん

治療方針

 ガイドラインに準拠した治療を行っています。 上部消化管内視鏡検査、超音波内視鏡検査、CT、腹部エコー、上部消化管造影検査などの検査を行い、胃がんの進行度に応じて治療方針を決定します。進行度に応じて、内視鏡治療、外科的治療、化学療法などの治療を行っていきます。

胃がんについて

 胃がんは大部分が胃の粘膜に発生する腺がんです。そして横方向に広がったり、胃の内腔に盛り上がって隆起を作ったりします。同時に胃の壁を深く潜るように伸展します。この深さが転移を起こすうえで重要な所見です。

 がんが局所で増大していく型は大きく分けて、膨張するタイプと、周囲にバラバラと浸潤していくタイプの2通りあります。一般に浸潤型の方が発見が遅れやすく、進行も速やかなことが多いと考えられます。しかし、必ずしも浸潤型の予後の方が悪いとはいえません。

 胃がんの肉眼的な型には大きく分けて5つあります。粘膜下までにとどまる0型、固有筋層より深く及ぶもののうちで膨張性に腫瘤を作る1型、膨張性の腫瘤の中に潰瘍を作る2型、浸潤性の腫瘤の中に潰瘍を作る3型、潰瘍を作らず壁を深く広く浸潤する4型(スキルス)です。その他、これらに分類できない5型というものもあります。

 がんは胃の壁を次第に深く浸潤していきますが、どこまで深くがんがあるかによって分類されています。胃がんは粘膜に発生し、胃の壁の中を徐々に深く進みます。壁のどの深さまで進んでいるかを示す言葉が深達度です。 英語のTumor(腫瘍)に由来し、アルファベットの略語で「T」と表示されます。 がんの深さが粘膜および粘膜下層までのものを「早期胃がん」、深さが粘膜下層を越えて固有筋層より深くに及ぶものを「進行胃がん」といいます。がんが胃の壁の内側から外側に向かって深く進むに従って、転移することが多くなります。

早期胃がん T1a 粘膜内にとどまるもの
T1b 粘膜筋板の下層(粘膜下層)までのもの
進行胃がん T2 固有筋層に及ぶもの
T3 腹膜に露出しているもの
T4 膵臓などの他臓器に咬んでいるもの

胃がんの症状

  • 胃の痛み
  • 不快感
  • 食欲不振
  • 胸焼け
  • 吐き気
  • げっぷ
  • 体重減少
  • 貧血・・・立ちくらみ、倦怠感、動悸、息切れ
  • 下血・・・黒色便

※胃がん特有の症状ではなく、胃炎や胃潰瘍でも起こります

胃がんの診断

胃がんの診断

胃がんの治療

内視鏡治療

 内視鏡治療が行われる条件としては、リンパ節に転移している可能性がないと考えられ、胃がんを一括で切除できる大きさと部位にあることです。この条件を満たす場合は、胃がんを確実に切除できる可能性が高いと考えられます。

 また、以下の絶対適応基準を条件にして、治療が可能か判断します。

  • リンパ節転移の可能性が極めて低いこと
  • 胃がんを一括で切除できる大きさと部位にあること
  • がんの大きさが2cm以下で、深さ(深達度)が粘膜層にとどまっていること
  • 組織型が分化度の高い腺がんである (がん細胞の増殖が緩やかな場合)こと
  • 胃がんの病変の中に潰瘍がないこと

 近年では、リンパ節転移の可能性が極めて低い2cm以上の大きな病変や、胃がんとともに潰瘍がある病変も、適応拡大病変として内視鏡治療の対象になっていますが、その有効性は臨床研究として検証中です。適応拡大病変は、大きな病変や潰瘍がある場合も一括して切除可能な、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)での切除が行われます。 切除された病変は、病理検査によって顕微鏡で詳しく検査され、がんが粘膜内にとどまっていること(粘膜下層へ進行していないこと)、切り口にがんがなく完全に切除されていること、がんがリンパ管や血管に進行していないことを確認します。病理検査の結果により、治療の適応を超え、リンパ節転移の可能性があることが判明した場合には、後日追加の手術が行われます。

 当院では下記の病変に対して内視鏡治療を行っており、2013年は124件の胃がんに対する内視鏡治療を行っております。

内視鏡的切除の適応病変
絶対的適応病変 2cm以下、UL(-)、分化型、cT1a
適応拡大病変 1)2cmを超える、UL(-)、分化型、cT1a
2)3cm以下、UL(+)、分化型、cT1a
3)2cm以下、UL(-)、未分化型、cT1a

 ※UL:潰瘍

 

化学療法

 手術が不能な進行・再発胃がんに対しては化学療法による治療方法があります。しかしながら、化学療法による完全治癒は困難であり、がんの進行に伴う症状発現時期の遅延や、生存期間の延長を目標とします。

 また、もうひとつの抗がん剤治療として、術前補助化学療法があります。再発の要因となる、目に見えないような小さな転移(微小転移)に対して、また手術前の大きさでは切除が難しいがんを小さくする目的などで行われる治療です。

 

外科手術

胃がん手術を受けられる方へ

 初めて受診される日は朝の食事を抜いて来院して下さい。内視鏡検査・造影CT検査等を行い、病変の拡がり、深さ、リンパ節転移の有無や遠隔転移の有無をチェックします。ステージ(進行度)を判定して出来るだけその日のうちに適切な治療方針を提示します。紹介元や当院内科で検査済みの場合は持参の資料により判定することもあります。

 治療方針は基本的に日本胃癌学会の胃癌治療ガイドラインに基づいており、ステージⅠ~Ⅲの場合は手術の方針です。ステージⅣの場合でも出血や通過障害の治療のために手術となることもあります。初診から手術まではおよそ2週間ですが、急を要する場合はその限りではありません。また当初は根治手術が出来ない判定であっても化学療法を先に行って腫瘍が縮小することで手術が可能となる場合もあります。

 当科では手術に根治性、安全性、低侵襲性を求めます。また出来るだけ胃全摘を回避することで術後後遺症の軽減を図っています。手術は開腹手術、腹腔鏡手術、ロボット支援手術で行っています。胃がんの手術件数は愛媛県内で最も多く中四国でもトップクラスです。腹腔鏡手術も内視鏡外科学会の技術認定医2名(八木、佐藤)が胃癌手術グループ専属で勤務しており同手術も中四国で最多の件数です。胃がん手術の入院中経過が良いことを示す在院日数も全国トップクラスの12.6日と良質な治療を提供しています。ロボット支援手術も専門医資格を有しており2018年には20例の実績があります。

診療実績

当院での胃がん治療件数の推移 ~内視鏡治療と外科治療件数~

胃がん治療件数の推移

当院の胃がん手術件数の推移

胃がん手術件数の推移

院内がん登録データ:胃(2017年1月~12月)

 ※がん登録およびステージとは・・・こちらをご覧ください。

登録数と男女割合

登録数と男女割合

年齢の割合

年齢の割合

詳細部位別登録数

詳細部位別登録数

UICC TNM 治療前ステージ別登録

<症例区分20~31(自施設責任症例)、病期分類対象のみ>

※胃の0期は使用しないことが院内がん登録のルールで決められています。

UICC TNM治療前ステージ別登録

UICC TNM 術後病理学的ステージ別登録

<症例区分20~31(自施設責任症例)、病期分類対象のみ、観血的治療の範囲1,4,9>

UICC TNM術後病理学的ステージ別登録

UICC TNM 総合ステージ <症例区分20~31(自施設責任症例)、病期分類対象のみ>

UICC TNM総合ステージ

UICC TNM総合ステージ別 治療の件数

 <症例区分20~31(自施設責任症例)、病期分類対象のみ、自施設で実施した初回治療のみ>

※件数は延べ件数。例えば、外科的治療と化学療法を組み合わせて行った場合には、どちらの項目でもカウントされる。

TNM総合ステージ別 治療の件数