皮膚がん

治療方針

 皮膚がんは、他のがんと同様、近年増加傾向にあります。まれではありますが、皮膚がんのタイプや進行程度によっては、命を落とすような重篤な場合があります。全身を覆っている皮膚のすべての部位から皮膚がんは発生しますが、見える場所にありますので、早期発見が最も可能ながんでもあります。

 現在、紫外線はもっとも重要な発がん因子であることが証明されていますが、一般にはまだまだその知識が浸透しているとは言えません。高齢化社会とともに、ますます皮膚がんの発生数は増加するものと思われています。

 日本皮膚科学会、日本がん治療学会のホームページから、皮膚がんの診断・治療の手順、各種治療法の推奨度などが記載された「皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン」をどなたでもご覧になることができます。当院皮膚科では、このガイドラインに原則沿った診断手順、治療方針に従って診療しております。 

皮膚がんについて

基底細胞がん

 最も多い皮膚がん。中高齢者の顔面にいわゆる、少し濃い色のホクロとして出現します。ドーム状に隆起したり、崩れて潰瘍形成・出血したりする場合などがあります。 この皮膚がんの特徴は、転移することがきわめてまれなことです。従って、十分な切除を行えば、再発することもなく、最も予後の良いがんでもあります。しかし、深く浸潤するタイプでは、骨まで破壊される場合もあり、十分な治療が必要です。

 

有棘細胞がん

 皮膚がんで2番目に多いのが有棘細胞がんで近年、増加傾向が顕著です。若年期から浴びてきた紫外線暴露の蓄積が、その最も重要な原因と考えられています。 顔面さらに手背、前腕などが、好発部位になります。通常、かさぶたのついた角化性紅斑(日光角化症:前がん病変)が先に生じ、そこからがんへ進行します。また、深い傷跡(瘢痕)も20-30年後にこのがんが発症することが知られています。熱傷や外傷で深く傷ついた皮膚を、植皮をせずに治療した部位から生じます。この場合、瘢痕があれば、体のどこでも生じえます。以前はすぐ治っていた瘢痕上の傷が、治りにくくなった場合はがん化の可能性があります。

 

悪性黒色腫

 いわゆるホクロのがんと呼ばれます。ごく小さな病変でも転移を生じ、遠隔転移をきたすと進行が早いなど、悪性度が高く、また、初回治療10数年後に再発、転移を生じることがあるなど、他のがんとは異なる特徴があります。日本人の場合、足の裏に生じることが比較的多く、足の裏に小児期になかったホクロが生じれば注意が必要です。

 

その他の皮膚がん

 陰部に生じる乳房外パジェット病はほとんどの症例が表皮内がんですが、進行しリンパ節転移を生じると抗がん剤や放射線治療が効きにくいため予後が悪くなります。また、70歳以上高齢者の頭部に生じる血管肉腫はきわめて悪性度が高く、予後の悪いがんですが、最近治療法の開発(抗がん剤と放射線療法)によって、少しずつですが予後が改善してきています。進行が緩徐な皮膚の悪性リンパ腫は紫外線療法で治療しますが、進行した病変には最近承認された新しい抗悪性腫瘍剤が使用されることもあります。